福岡・博多でお香作りを体験するとき、最初に決めるのが2種類の「ベースの香り」。一つは前回ご紹介した白檀(びゃくだん)、そしてもう一つが——フランキンセンスです。聞き慣れないかもしれませんが、実は5000年も昔から「祈りの香り」として世界中で大切にされてきた、由緒ある香料。博多駅から徒歩約10分のTSUTSUMUで出会える、この神秘的な香りの正体を、ゆっくり紐解いていきます。
フランキンセンスとは?──和名は「乳香(にゅうこう)」

フランキンセンスは、カンラン科ボスウェリア属の樹木からとれる樹脂(じゅし)から生まれる香りです。樹皮にそっと傷をつけると、乳白色の樹液がにじみ出て、やがて空気にふれて固まり、黄金色の小さな粒になります。これを焚いて立ちのぼる香りを楽しむのが、フランキンセンス。和名の「乳香」は、この乳白色の樹脂の色に由来しています。
花や葉からとる香りとは違い、木の“いのち”そのものがにじみ出た一滴。フランキンセンスが古くから特別な香りとされてきたのには、そんな成り立ちも関係しているのかもしれません。
三賢者が黄金とともに捧げた──5000年の歴史
フランキンセンスの歴史は、とても古く深いものです。紀元前3000年頃の古代エジプトでは、神殿での儀式やミイラづくりに欠かせない、神聖な香りとされていました。
なかでもよく知られているのが、聖書の一節。イエス・キリストの誕生のとき、東方の三賢者が黄金・没薬(もつやく)とともにフランキンセンスを贈り物として捧げた、と伝えられています。つまりフランキンセンスは、黄金と並ぶほど貴重なものとして扱われていたのです。古代ギリシャやローマでも、神に祈りを捧げる薫香(くんこう)として大切にされてきました。
時代も国も超えて、人が「祈り」を託してきた香り。それがフランキンセンスです。
どんな香り?──スモーキーで、奥にほのかな柑橘
実際の香りは、スモーキーでややスパイシー。その奥に、かすかな柑橘の甘さと酸味がそっと潜んでいます。深く、少し神秘的で、空気がぴんと澄んでいくような香りです。
甘くまろやかでぬくもりのある白檀に対して、フランキンセンスは凛とした透明感と静けさが持ち味。同じ「ベースの香り」でも、まとう空気はずいぶん違います。
なぜ、心がすっと静まるのか

フランキンセンスは、古くから深い呼吸を促す香りといわれ、瞑想や祈りの時間に用いられてきました。主成分はα-ピネンなどで、気持ちを穏やかに整える香りとして親しまれています。
慌ただしい毎日のなかで、一本のお香に火を灯し、その香りをゆっくり吸い込む——ただそれだけのことが、心にひと呼吸の余白をくれます。観光で歩き疲れた夜、お部屋でそっと焚けば、博多の一日がやわらかく締めくくられていきます。
白檀と、どちらを選ぶ?──TSUTSUMUの2つのベース
TSUTSUMUのお香作りでは、白檀かフランキンセンスのどちらかをベースに選びます。
- 白檀 … 甘くまろやか。ぬくもりがあり、どこか懐かしい和の香り
- フランキンセンス … 凛として透明感があり、静けさと奥行きのある香り
どちらが正解ということはありません。その日の気分や、贈る相手の雰囲気で選んでいただけます。迷ったときは、スタッフが香りを嗅ぎ比べながら一緒にお選びしますので、ご安心ください。
フランキンセンスを引き立てる、香りの組み合わせ

ベースのフランキンセンスに、5種類のミックス香料(レモングラス・安息香・金木犀・ハニーサックル・シナモン)を自由に重ねて、あなただけの一本に仕上げます。
- フランキンセンス × 安息香(あんそくこう)… 静けさに甘いぬくもりを添えた、瞑想のような落ち着き
- フランキンセンス × シナモン … スパイスが効いた、深く力強い香り。書斎や夜の時間に
- フランキンセンス × レモングラス … 柑橘の爽やかさが加わり、いっそう凛と澄んだ印象に
- フランキンセンス × ハニーサックル … 透明感に華やかな甘さが寄り添う、やさしい香り
ご予約・アクセス
- 所在地:福岡県福岡市博多区博多駅前3-5-20 本島ビル401(JR博多駅 博多口から徒歩約10分)
- 営業時間:10:00〜18:00(最終入店 17:00)/定休日:月曜・火曜
- 料金:¥3,500/人(お線香・匂い袋とも同料金)
- 所要時間:約60分/対応言語:日本語・英語・韓国語
- ご予約:公式サイトから24時間受付/お電話 070-6697-5255
灯すたびに、静かな時間が戻ってくる
5000年ものあいだ、人が祈りを託してきたフランキンセンス。その香りを、福岡・博多であなたの手で一本に包んでみませんか。家に持ち帰り、火を灯すたびに、博多で過ごした静かな時間がふっとよみがえる——フランキンセンスは、そんな“祈りのような余白”を日常に連れてきてくれる香りです。



